相続法改正案による配偶者相続の変化と影響とは?

2018-07-30

■はじめに

相続法改正案によって遺産相続にどのような変化・影響があるのかご紹介しています。今回は、前々回にご紹介した配偶者の居住権に続き、配偶者の居住の保護の一つとして提案されている配偶者への贈与についてご紹介します。

■20年贈与

婚姻して20年経過すると、居住用不動産を配偶者に贈与した場合に贈与税の2000万円までの控除が受けられます。これは現行法ですでに受けられていました。

ただ、その後相続が開始した際に、他の相続人から、その贈与が「特別受益」だと主張される可能性があります。そうすると、その贈与分をいったん遺産に持ち戻して、それぞれの相続人の取得分を計算することで、配偶者の取得分が減るという結果になりえます。これがひとつのネックになっていました。

 

■20年贈与を受けた配偶者の保護

そこで今回の改正案では、この贈与については原則として遺産に持ち戻す必要は無いとすることが提案されています。

すなわち、婚姻20年を経過している夫婦の間で贈与または遺贈があった場合、そのうち居住用家屋(配偶者居住権を含む)とその敷地については、遺産分割において、原則として遺産に
持ち戻す必要はないことが提案されています。

 

■おわりに

相続法が新しく改正されることによって、遺産相続に大きな変化と影響が出ます。
遺産相続への変化と影響は、配偶者・相続人・被相続人それぞれにメリット・デメリットがあると言えます。
しかしながら、まだ見直しが必要な部分もあるため、今後どのように変化していくのか確認しておく必要があると言えるでしょう。