相続人がいない場合(相続人不存在)
亡くなられた方に、配偶者(夫または妻)も子供も、親も兄弟もいない場合や、全員が相続放棄をした結果、誰も相続する者がいなくなった場合(相続人不存在)について、以下に掲載しています。
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相続人不存在の場合の相続財産管理人選任
亡くなられた方に、不動産や預貯金などの財産があり、また借金など負債もある場合に、相続人がいないと、誰も精算や処分ができなくなってしまいます。その場合、家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらい(通常、弁護士が選任されます)、本当に相続人がいないが公告調査したうえで、相続財産管理人が精算・処分する手続きを踏みます。最終的に財産が残ると、特別縁故者に分与するか、国に帰属させます。
相続財産管理人の選任申立をする際には「予納金」が必要になります。
予納金の額は、個々の事案によって家裁が決めるのですが、おおよそ100万円以上の予納金が必要になります。
その予納金は、相続財産管理人となる弁護士の報酬に充てられるものです。
そのため、予納金を納めてでも、財産管理人を選任してもらう利益がある場合に、その利益を受ける者(利害関係人)が申立を行うことになります。
故人名義の不動産を売却すれば返済が見込めるといった場合に金融機関など債権者が申立てたり、特別縁故者が申立てたりです。
なお、特別縁故者とは、相続権は無い方で、内縁の妻や、生前に身の回りの世話をずっとしていた者などが該当します。
相続財産管理人選任申立手続について
亡くなられた方の住所地を管轄する家庭裁判所に、「申立書」を提出します。(→管轄についてはこちら)
なお、申立人となるのは、① 利害関係人(亡くなられた方の債権者、遺言で遺贈を受けた方、特別縁故者など)、② 検察官、です
申立書を提出をする際の必要書類
- 亡くなられた方の、出生から死亡までの除籍・改製原戸籍の全て、除票
- 遺産に関する資料(不動産の登記事項証明、固定資産評価証明、預貯金通帳の写し、残高証明書、有価証券写しなど)
- 利害関係を証する資料(借用証書、戸籍・住民票、遺言書など)
なお前述した通り、申立をする際に、5,000円程度の収入印紙・切手・官報公告費のほか、個々の事案によりますがおおよそ100万円以上の予納金が必要になります。
予納金額は、申立後に裁判所が決定して通知されますので、速やかに納めることになります。
この予納金は、財産管理人となる弁護士の報酬に充てられるものです。
財産管理人を選任して以降の手続(概ね)
- まず、相続財産管理人が選任されたことを知らせるための公告をします。
- 公告から2か月が経過してから、財産管理人が、相続財産の債権者・受遺者を確認するための公告をします。
- その公告からさらに2か月が経過してから、相続人を捜すため、6か月以上の期間を定めて公告をします。
期間満了までに相続人が現れなければ、相続人がいないことが確定します。 - 特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをする場合には、相続人がいないことが確定してから3ヶ月以内にする必要があります。
- 財産管理人は、裁判官の許可を得ながら、被相続人の不動産や株を売却して金銭に換えるなどして、債権者や受遺者への支払をしたり,特別縁故者に対する相続財産分与の審判にしたがって特別縁故者に相続財産を分与するための手続をします。
- 最終的に相続財産が残った場合は、相続財産を国に引き継いで手続が終了します。