すぐに開封してはいけません|遺言書の検認について

2018-06-14

遺産相続に関して親族間でトラブルが起きることはよくあるケースです。
そして、これを防ぐためにできるのが遺言書の作成です。

 

もし仮に遺言書が見つかった場合、すぐに開封すると無効になってしまうことがあります。自分の思いや願いを残された遺族に確実に伝えたいですよね。

 

今回は、遺言書の検認についてご説明します。

 

○遺言書の検認とは

遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出して、相続人の立会いのもと、遺言書を開封して遺言書の内容を確認することです。

 

遺言書の種類には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、検認が必要になるのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言です。公正証書遺言については、公証人の立会いの下で作成しているので、改ざんや偽造される可能性はないので検認する必要がありません。

 

○検認手続きの流れ

①検認申立書、遺言者の出生から死亡まで一続きになった戸籍等、法定相続人全員の戸籍等の書類を集め、遺言者の最後の住所にある家庭裁判所へ提出します。

 

②書類に不備がなければ、約1ヶ月から1ヶ月半後に家庭裁判所から相続人全員の住所へ遺言書を検認する日についてのご案内が送られます。

 

③遺言書検認日に、申立人は遺言書を持参して、家庭裁判所で遺言書の検認手続きを行います。

 

④遺言書を検認した後は、遺言書の内容を執行するために「検認済証明書」を発行し、家庭裁判所から書類を返してもらい、遺産相続手続きを行っていきます。

 

○検認手続きの費用

遺言書1通につき収入印紙代として800円かかります。

裁判所によっては、連絡用の郵便切手が必要になる場合もあります。

 

○開封してしまった場合

もし誤って開封してしまっても罰金を課されることは滅多にありません。

法律上では5万円以下の罰金を請求されることになっていますが、検認手続きが必要であることがあまり世間一般に広く知られていないため、罰金を課されたケースはあまりありません。

 

また、遺言書を開封してしまったとしても、遺言書自体の効力や相続人の資格が失われることはありません。しかし、故意に遺言書を開封し、破棄したり改ざんしたり差し替えたりすると、相続人としての権利は失うことになります。

 

以上、遺言書の検認についてご説明しました。遺言書を見つけたとき、何気なしに開封して読んでしまう方も多いと思いますが、罰金を取られる可能性もありますので気をつけてくださいね。トラブルを未然に防ぐためにも、事前に遺族の方にお伝えしておくと良いかもしれません。