公正証書遺言
遺言書を作成する場合、公正証書によることをお勧めしています。
それは、遺言の内容や形式について公証人のチェックが入るため、自筆証書遺言の様にいざ実現しようとしたときに不備によってできないという危険が無いことや、第三者による改ざんの恐れも無く、万が一失くしてしまっても、公証役場に原本が保管されていることなどからです。
さらに、自筆証書遺言は死亡後に家庭裁判所で検認手続をしないと使えませんが、遺言公正証書であればすぐに遺言内容を実行することができます。
遺言公正証書の作成手続について、以下に記載しています。
こちらに載っていない事や、載っているけどよく分からないといった場合には、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。
些細な事でも気軽にご相談して頂ける様に、相談はいつでも無料にしています。
遺言公正証書の作成手続
遺言公正証書は、公証人の面前で遺言の内容を述べて、公証人に作成してもらいます。
ただ、突然公証役場に行って、すぐに作成してもらえるものではありません。
遺言内容の打ち合わせと資料提出
まず事前に、公証役場に出向くかFAXなどで、遺言の内容を記載したメモを提出するとともに、遺言者の戸籍と印鑑証明書、財産をもらう方の住民票などを確認してもらいます。
あわせて、公証人手数料を計算してもらうため(財産の額によって変わります)財産に関する資料(土地建物の登記事項証明と固定資産評価証明や、預貯金の額を記載したメモ)も提出します。
また、2人の証人の、住所・氏名・職業を記載したメモも提出します。
遺言書作成日時の打ち合わせ
公証役場に行く日時を決めます。身体が不自由なため自宅から出向けない場合や、入院中である場合には、自宅や病院に出張して頂くこともできます(手数料加算と出張費がかかります)。
公証人にて遺言書作成
当日は、2人の証人立会のもとで、公証人と一緒に、あらかじめ作成して頂いた遺言書の読合せをします。問題なければ、原本に、遺言者が署名・押印(実印)し、続いて証人2人が署名・押印(認印)します。
なお、手が不自由で署名ができない場合は、その旨を付記して、公証人に代署してもらうことができます。
遺言公正証書の完成と費用精算
公証人から遺言公正証書の正本と謄本を受取り、手数料をお支払して完了です。
遺言公正証書の原本は公証役場に保管され、正本と謄本が遺言者にわたされます。
遺言者が亡くなり遺言内容を実行する際の、各種相続等手続では「正本」を使用しますので、こちらは相続や遺贈を受ける者か、遺言執行者が保管して、「謄本」の方を遺言者自身が保管しておくのが一般的です。
遺言公正証書作成の必要書類、注意点、手数料について
遺言公正証書作成時の必要書類は、以下のものなどです。
・遺言者の戸籍謄本、印鑑証明書、実印
・受遺者の戸籍謄本
・財産額が分かる書類(不動産登記事項証明および固定資産評価証明、預貯金額を記載したメモなど)
遺言公正証書作成には証人が2人必要ですが、以下の者は証人になれません
相続人になる者および受遺者、それらの配偶者および子・孫
なお、親戚や友人などに証人になってくれる方がいれば良いですが、いない場合は、公証役場の方から近くの司法書士などを紹介してもらうこともできます。
また、司法書士事務所などに公正証書遺言作成を依頼する場合は、通常、その事務所の司法書士や事務員が証人になっています。
遺言公正証書作成の手数料については、こちらをご覧下さい【相続遺言費用の目安】
遺言公正証書の原本の保管期間について
公正証書作成時に、原本のほか正本と謄本が作成され、正本と謄本をもらえます。
原本は公証役場に保管されますので、万が一正本と謄本を失くしてしまっても、再発行をしてもらうことが可能です。
この原本はどのくらいの期間保管されているかについては、公証人法施行規則で20年と規定されています。
ただ、遺言は遺言者の死亡時に効力を生じるため、20年だと遺言者が亡くなる前に廃棄されて困ったことが生じる事も考えられます。
そのため実務上は、20年経過後の原本も保管しているのが通常のようです。ただその取扱いや実際の保管期間については、各公証役場で取扱が異なります。